こんにちは、涼風しずくです。
4月からこの介護施設で働き始めたばかりの新人です。
現場は毎日が“はじめて”の連続で、正直いっぱいいっぱいですが……
自分の中の「これ、どうしたらいいの?」をひとつずつメモして、
少しずつでも、前に進んでいけたらと思っています。
「明日、○○さんの食事介助お願いね」
その言葉を聞いた瞬間、私は一瞬、返事に詰まってしまった。
「……はいっ」
口ではそう言ったけれど、心の中はぐちゃぐちゃだった。
(え、私が食事介助…? まだ見学しかしてないのに?)
帰宅してから、私はいつものノートを開いた。
「食事介助」って、結局どうすればいいんだろう。
スマホで検索して出てきたのは、「スプーンは目線の下から」「とろみの確認」「むせたときの対応」──
難しいことばかりだった。
読めば読むほど、手が止まる。
「これ…本当に明日、私にできるの?」
翌朝、私は思い切って先輩の宮本さんに声をかけた。
「あの…○○さんの食事介助なんですけど、どんなことに気をつければいいですか?」
「ああ、○○さんね。とろみ必要だから最初にお茶の確認してね。
それと、口に運ぶときは焦らずゆっくり。“食べてもらう”ことを意識してね」
その言葉に少し安心した。
ネットの情報だけじゃわからない、“その人に合った”ケアのコツがあるんだ。
食事の時間、私はおそるおそるお茶のとろみを確認し、スプーンを手に取った。
(昨日メモした通り…目線の下から、ゆっくり、見えるように)
○○さんは、私の顔を見て微笑んでくれた。
そして、ほんの少しだけ口を開けてくれた。
スプーンが唇に触れて、口の中へ。
私は、ごくりと息をのんで見守った。
○○さんが自然に飲み込むのを見て、少し肩の力が抜けた。
「食べてもらえた…」
たったひとくち。
それだけで、私は少しだけ前に進めた気がした。
📒しずくの現場メモ
- スプーンは相手の見える位置から、ゆっくり運ぶ
- とろみの確認は最初に
- 飲み込めたか、そっと見守る
合わせて読みたい記事
- はじめての食事介助で気をつけたいこと
→ 新人さん向けに、食事介助の基本をわかりやすく解説! - 【第6話】“介助”と“自立支援”の違いに気づいた日|新人介護士 八琉木みなぎの成長日記
→ 「ただ食べさせる」じゃない。“支える”とは何かを学んだみなぎの体験記
コメント