🌙やる気みなぎの奮闘日記|第2期 第1話

やる気みなぎ【奮闘日記】

『はじめての一人夜勤。眠れないのは僕だった。』

※このエピソードは、入社4か月目の頃――まだ新人だった僕が、はじめて「一人夜勤」に挑戦したときの記録です。

16時25分。
タイムカードの前で、一度だけ深呼吸した。
心臓がドクンドクン鳴ってるのが、自分でも分かる。

これから17時間。16:30〜翌9:30。はじめての「一人夜勤」が始まる。

これまでの夜勤は、三谷さんが一緒だった。
先に寝る利用者さんがいたって、見守りが必要な人が多かったって、
「もし何かあっても、三谷さんがいる」って思えるだけで、ずいぶん違った。

でも今日は、僕ひとりだ。
ナースはオンコール。何かあれば電話できるけど、現場にいるのは僕だけ。
しかも、今夜は2つの現場(ユニット)を任されている。

遅出の先輩が21時半に退勤したら、そこからは本当にひとり。
車で来る早出が7時に現れるまで、長い夜を僕が守ることになる。

看護師もいない。対応はオンコール 何かあれば電話できるけど、現場にいるのは僕だけ。


夕食の配膳、服薬、口腔ケア。
「お願いしますね〜」「おいしかったよ」「いつもありがとう」
そんな言葉に、少し気持ちが落ち着いてくる。

トイレ介助、パッド交換、就寝誘導も、流れは頭に入ってる。
…でも、ちょっとしたことで心がザワつく。

「あの方、いつもより呼吸が浅い気がする」
「この方、足元ふらついてなかったかな?」


21:40
ナースコールが鳴る。

画面に表示されたのは、Tさんの部屋番号。
慌てて走ると、Tさんがベッドから身を乗り出していた。

「お手洗い…に行こうと思ってねぇ…」

転倒はなかった。ほっとしたのも束の間、
「もしこのまま落ちてたら…」と想像してゾッとした。
すぐにヒヤリハットとして記録を残す。
こういう“気づき”を次に活かせるようにするのも、一人夜勤の大事な仕事だ。


深夜2:15

「このへんが、一応“休憩時間”なんだけどな…」

記録の見直しを終えて、ふぅっと椅子に腰を下ろす。
仮眠を取ってもいいことになってる。タイマーも持ってきていた。

でも、心は全然休めてなかった。
ナースコールが鳴ったらすぐ動けるように、耳は常にアンテナ状態。

「“ひとり”って、こういうことか…」

仮眠をとる気にもなれなかったので、
スマホでケアラルの動画を見ながら、ぼーっと過ごした。
まじめに見たわけじゃないけど、不思議と安心できた気がする。


朝5:00
モゾモゾと起きだす人が増えてくる。
トイレ誘導、オムツ交換、整容介助――
「あ〜……朝のラッシュ、しんど…」
心の中でつぶやきながら、ひとりひとりに声をかける。

洗面所で車椅子が並ぶのを見て、思わず愚痴が漏れた。

「これというのも、政治家が介護の人員配置を甘く見てるからやろ…」

誰に届くわけでもないその言葉が、薄明かりの廊下に溶けていった。


朝7:00
玄関のオートロックが開く音がして、
早出の職員が「おはようございます〜」と入ってくる。

その瞬間、心の奥にひとつ灯りがともった気がした。

早出が来れば、僕は2ユニット対応から自分の現場だけに集中できる。
それだけで、ずいぶんと気持ちが楽になる。

「ああ、やっと“夜”が明ける」
そんな安堵で、肩の力がふっと抜けた。


9:20
日勤者が来たとき、思わず「お疲れさまです」と言った。
…いや、それ、言うのは向こうだった。

でも、何かが終わった安堵で、声が漏れた。

「おつかれさま、どうだった?」

声を聞いた瞬間、肩に乗っていた重たいリュックをおろしたような気がした。

「…大丈夫でした。でも、まったく眠れませんでした」


誰も見ていない夜の現場で、
自分だけの緊張と、ひとつの達成感を胸に。

僕はまた、少しだけ強くなれた気がする。

みなぎの夜勤デビューと同じように、夜勤中に注意したいこともまとめています。

👉 夜勤中に気をつけたい3つのポイント|せん妄・転倒・体調急変への対応


🌱みなぎの一言日記

「一人夜勤」って、ただの業務じゃなくて、“自分を信じる力”の訓練だった。

📓みなぎメモ

  • 一人夜勤の基本:落ち着いて、優先順位を考えること
  • 不安なときほど、記録を見返して判断
  • 呼吸・表情・寝姿勢は「ちょっと変かも?」を見逃さない

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