やる気みなぎの奮闘日記|第2期 第3話

やる気みなぎ【奮闘日記】

止められなかった…それでも僕は前を見る

「今日は日勤だね。なんか、明るいだけでホッとするね。」

しずくが、少しだけ笑った。
僕も思わず笑ってしまう。
夜勤続きだったから、こうして昼間に動けるだけで、どこか気持ちが軽かった。

「今日ものんびり支援していこうね。」

そんな会話を交わしながら、僕たちはそれぞれの支援に入った。


午後、フロアは穏やかな空気に包まれていた。
お茶の時間を終え、利用者さんたちがそれぞれの場所でくつろいでいる。
そんなときだった。

ーーガタン。

振り返った僕の目に飛び込んできたのは、倒れ込む利用者さんの姿だった。

「○○さん!」
すぐに駆け寄ったが、もう立ち上がれない状態だった。

職員たちが一気に動き出す。
連絡、対応、記録。
現場の空気が、一瞬で変わった。


あっという間に、救急搬送の手配が整った。
ベテランの先輩たちは落ち着いて動いている。
僕としずくは、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。

(僕は、何をしていたんだろう。)
(もっと早く気づいていれば…)

後悔の言葉ばかりが、頭をよぎった。

診断結果は、骨折だった。
思っていたよりも重い怪我に、僕は言葉を失った。


報告が終わったあと、主任さんから言われた。

「これは誰のせいでもない。○○さんの体調もあるし、転倒リスクも想定してた。大丈夫。」

そう言われても、自分を責める気持ちはなかなか消えなかった。

ふと、思った。

(三谷さんなら……どうしただろう。)

完璧に見えた三谷さんでも、
こんなとき、きっと悔しかったんじゃないか。
そう思ったら、少しだけ胸が軽くなった。


帰り際、しずくがぽつりとつぶやいた。

「止められなかったですね……でも、悔しいです。」

僕は、うなずいた。

「うん。」

たったそれだけの言葉。
でも、僕たちは、少しだけ同じ気持ちを共有できた気がした。

止められなかった。
でも、僕は前を見る。
悔しさを抱えて、少しずつでも進んでいこう。


🌱みなぎの一言日記

悔しい気持ちって、重たい。
でも、誰かと共有できたら、少しだけ軽くなる気がした。


📖みなぎメモ

  • 転倒事故は、誰のせいでもない場合が多い
  • 大切なのは、対応と、その後の見守り
  • 悔しい気持ちは、次への糧にする

※転倒事故は、夜勤中にも起こることがあります。
夜勤中の対応についてまとめた記事もありますので、参考にしてみてください。

▶️ 夜勤中に気をつけたい3つのポイント|せん妄・転倒・体調急変への対応

※普段からリスク感覚を持つことが、転倒やアクシデント防止につながります。
新人さん向けにまとめた記事もありますので、あわせてどうぞ!

▶️ ヒヤリハットとアクシデントを防ぐ!|新人介護士さんが知っておきたいリスク感覚と現場の工夫


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