逃げなかった日々が、僕を支えていた
〜 これが、僕の奮闘日記 〜
「みなぎさん、今日ですよ。合格発表」
そう声をかけてきたのは、職場のスタッフだった。
スマホで見るべきか、PCの前に座るべきか――
少し迷って、パソコンの前に座った。
手が少し震えていた。
試験センターの公式サイト。
受験番号を打ち込んで、ページをスクロールする。
――あった。
自分の番号を見つけた瞬間、息を止めていたことに気づいた。
「……受かってた」
嬉しいというより、ただ、ほっとした。
あの試験の日の空気が、ふっと頭をよぎる。
介護福祉士国家試験の朝。
緊張していない、と思い込もうとしていたけれど、
席に着いた瞬間、手のひらがじんわりと湿っているのに気づいた。
鉛筆の音が静かに響く中、
最初の数問はスラスラと解けた。
けれど、途中から妙に迷う問題が続いて――
「やばい……わかんない」
焦りで、喉がカラカラになった。
でも、不思議と途中でふっと力が抜けた。
試験勉強の日々、夜勤明けでも頑張ったこと、
眠い目をこすって過去問を解いたこと。
そして何より、
この一年、逃げずに働き続けてきた日々――
あれが、少しずつ、僕を支えてくれていた。
休憩室に戻ると、涼風さんが駆け寄ってきた。
「先輩! どうでしたか?」
「うーん……正直、自信なかったけど……
受かってた」
「やっぱり! おめでとうございます!」
そう笑う彼女を見て、僕も少しだけ笑った。
「涼風さんも、記録書くの上手くなったな」
「えっ、マジですか!? 褒められた!」
そんなやりとりが、どこか懐かしくも、あたたかかった。
ロッカーを開けると、
中に一枚のメモが挟まっていた。
「ここまで来た自分を、ちゃんと誇ってあげてください」
三谷さんの字だった。
退職前に残してくれたのだろうか。
それだけで、胸の奥が少し熱くなった。
僕はまだ完璧じゃない。
たくさん失敗もしてきた。
でも、逃げなかった。
誰かに支えられながら、
僕も、誰かを支えながら、
ここまで歩いてきた。
これが、僕の――奮闘日記。
📓 やる気みなぎの一言日記
がんばった、って胸を張るのはちょっと照れくさい。
でも、「逃げなかった」って言うなら、今日は言える。
📝 やる気みなぎのメモ
国家試験の合格発表は、これまでの努力が報われた瞬間。
でも、ここに来るまでには、たくさんの不安や失敗があった。
辞めたいと思った夜もあったけど、それでも僕は「逃げなかった」。
そのことを、今日だけは自分で認めてやりたい。
―― やる気みなぎ 完
⬅️ 【前話】 やる気みなぎの奮闘日記 第9話(介護福祉士試験前日)
📚 【まとめ】
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